1 解雇の基本
会社から解雇を告げられた方からよくいただくご質問について、Q&A形式でご説明します。
Q1 突然「明日から来なくていい」と言われました。会社は自由に社員を解雇できるのですか
A できません。
会社が社員を解雇するには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上の相当性が必要です。これを欠く解雇は無効です(労働契約法16条)。なお、「明日から来なくていい」という言葉は、解雇なのか自宅待機の指示なのか、はっきりしないことがよくあります。自分の判断で出社をやめると、無断欠勤や自己都合退職と扱われるおそれがあります。まずは、解雇なのか、いつ付けの解雇なのか、理由は何かを、書面で確認してください。口頭で言われただけの場合は、「解雇ということでよいか」をメール等で問い合わせ、記録を残しておくことが大切です。
Q2 解雇の理由を尋ねても、「総合的な判断だ」との言動に終始し、明確な理由を言われません。どうすればよいですか
A 会社に「解雇理由証明書」の交付を請求してください。
請求があれば、会社は遅滞なく交付しなければなりません(労働基準法22条)。解雇の予告を受けてから退職日までの間だけでなく、退職した後でも、退職時の証明書として解雇の理由を記載するよう求めることができます。理由が書面になれば、その理由が本当に解雇に値するのかを検討でき、後で争う際の重要な資料になります。会社が交付に応じない場合は、その事実自体も記録に残してください。請求の方法や文面についてもご相談いただけます。
Q3 解雇が「無効」になると、どうなるのですか
A 解雇が無効ということは、解雇はなかったものとして、会社との雇用契約が今も続いているという意味です。そのため、会社に戻って働くこと(復職)と、解雇されてから復職までの間の給料の支払いを求めることができます。もっとも、実際には、会社に戻ることを望まない方も多く、その場合は、解雇が無効であることを前提に、会社が解決金を支払い、退職する形で解決することもあります。復職を目指すのか、金銭での解決を目指すのかによって進め方が変わりますので、ご希望をお聞かせください。
Q4 「解雇予告手当を払うから今日で解雇」と言われました。お金を受け取れば、それで終わりですか
A 終わりではありません。
会社が解雇するときは、30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません(労働基準法20条)。ただし、これは解雇の手続に関するルールであり、予告手当が支払われたからといって、解雇が正当なものになるわけではありません。解雇に理由がなければ、予告手当の支払いがあっても解雇は無効です。予告手当を受け取っただけで直ちに解雇に同意したと扱われるわけではありませんが、後で争う余地を残すため、受け取る際に「解雇には異議がある」とメールなどで伝えておいてください。予告も予告手当もなく即日解雇された場合は、予告手当の請求もあわせて検討します。
Q5 「解雇ではなく、自分から退職届を出すように」と言われました。書いた方がよいですか
A 書かないでください。
解雇と自己都合退職は、法律上まったく別のものです。退職届を出してしまうと、自分の意思で辞めたことになり、解雇を争うことが極めて難しくなります。失業保険の給付でも、自己都合退職は会社都合に比べて不利になります。会社が退職を勧めること(退職勧奨)自体は違法ではありませんが、応じる義務はなく、その場で返事をする必要もありません。強く迫られて書いてしまった場合、取消しや無効を主張できることもありますが、簡単ではありません。「解雇なら解雇通知を書面でください」と伝え、退職届にはサインをしないことが大切です。しつこく迫られる、脅すような言い方をされるといった場合は、やり取りを録音・メモし、早めにご相談ください。
ご相談について
解雇、内定取消し、試用期間中の本採用拒否などでお困りの方は、お早めにご相談ください。時間が経つほど証拠は失われやすくなります。 https://ozasa-katsuhiro-law.com/contact/
※本ページは、一般的な法律上の考え方をご説明するものです。実際の結論は、個別の事情によって異なりますので、具体的な対応については弁護士にご相談ください。
最終更新日:2026年9月25日